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マーキュリー・ファー(シアタートラム 2/13 19:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

ポスターだと耽美な兄弟の話のように見えますが、そんな趣は全くなく、じつはこの戯曲、2005年、イラク戦争に抗議する意味で書かれたものだそうです。書いたリドリーさんは、こんな残酷な話が書けるなんて、と友達に絶縁されたそうです。

さもありなん。検索してもあまりあらすじに触れてないのも、さもありなん。

2時間15分、休憩なし。体がこわばったままで、終わったらガチガチでした。

以下、ちょっとだけネタバレあり。




設定が最初はよくわからず、兄と弟が、空き家になったマンションの一室で「パーティ」の準備をしている。「バタフライ」という幻覚剤を町中の人が食べている、ちょっとファンタジー? スピンクスというのがボスで、ローラという手伝いの女性もいて、スピンクスが連れてきた「姫」がオバサンなんだけど、なんで? パーティって何? バタフライって蝶そのもの? パーティのゲストのために持ってきた「パーティプレゼント」って、人間じゃん???

幻覚剤をやっている人間は記憶があいまいだそうで、断片的に彼らが語る過去というのが、とても残酷。スーパーに行っただけで武装勢力に遭遇しちゃって家族皆殺しになるとか。幻覚剤でおかしくなって、お父さんが焼身自殺するとか。

「姫」が誰なのか、バタフライが何なのかといった謎が、どんどんと解かれていって彼らの人間関係がわかっていくのが、話を進めていって、飽きさせない。

と同時に、当然、パーティとゲストとプレゼントの意味(それももちろん残酷きわまりない)が明らかになっていって、え、本当にここでそれやっちゃうの!? という恐怖感が募ってくる。

あまりにも暴力がむき出しになっていて、命というものが粗末に扱われている世界。一方で、いや、だからこそなのか、心臓の音を聞きあう場面が何度かあって、命の意味を確認しないと正気を保てないのかな、と思う。

暴力から逃れて生き延びることだけを優先していると、どうしても身内を助けようって思うよね。ってことは、身内以外は利用してもいいってことだよね。だから、全くの他人なんだけど、迷い込んできた人懐こい青年が巻き込まれていくのが、クライマックス。

逆に、本当に大切な家族は、不意に訪れる死ではなく、家族の手によって死なせてあげたほうがいいのではないか。

ここまで生き延びてきたのに、「正義」の名のもとで行われる容赦ない空爆。

こんな現実、私は体験したことがない。

でも、世界のどこかで確実に起きているんだ。

いや、「どこか」じゃなくて、少なくとも中東で、だ。



役者が袖から出てこないで、客席の通路から出てくるのは、わざとなんだろうか。どこか知らない世界のことではなく、自分たちと関係あるんだよ、という意味で。

演出は白井晃。最初に部屋を片付けるとき、少しずつ窓をふさいでいたベニヤ板をはがして日の光が入ってくるところが、とてもきれい。それが夜になって…空爆で明るくなって…。上手いなあ。

随所にいろいろな引用がちりばめられているのも、意味深。重要なのが「サウンドオブミュージック」。ナチスから逃れる話だった。テセウスがミノタウロスを退治する話。ミノタウロスが体だけ人間っていう牛だったらいいけど、頭だけ牛っていう人間だったら殺さなくていいのに、という話はなんだか怖くてすごく気になる。

役者さんは、小柳心ぐらいしか知らなかったけど、ローラ役の女性が声が魅力的だなと思ったら、中村中だった。迷い込んだ青年の水田航生って聞いたことあるなと思ったら、オーシャンズ11のリビングストンだったよ、驚き。


ところでタイトルはどういう意味なんだろう? ファーは毛皮のファーの綴りでした。

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