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この熱き私の激情(銀河劇場 11/17 19:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

元娼婦で作家、34歳で自殺したカナダの女性ネリー・アルカンの作品から、
6人の女優と1人のダンサーが、散文的に表現する。

全くストーリーが無いので、
これは失敗かなーと思いながら見初めたんだけど、
なかなかどうして、意欲的で実験的な作品でした。

10個の箱(5列2行)、リビングやトイレや、寝室、いろんな部屋に
一人ずつ女優がいて(空き部屋もある)
手前はガラスで、そこに女性たちがはりつくように位置している。
娼婦としての「はり店」状態、もしくは標本。

部屋が、マグリットやバルデュスの絵のように、
普通なんだけどちょっと変、っていうのが素敵。

全員でしゃべる部分と、一人ずつの場面が交互にあり。
ダンサーはそれぞれの部屋を行き来して、
部屋の上から足だけ入れてきたり、
お父さん役になったりと、いろいろ絡むのも面白い。

6人の女優は全く相互に会わないわけ。
でも部屋同士でシンクロしてたりして。

「年を取ってはダメ」と老いにおびえる女性、
北極や宇宙にあこがれた子ども時代を思い出す女性、
自分が生まれる前に死んだ姉のことを語る女性(←きりやん)

一見、バラバラなようでいて、
でも、だんだん収斂してくる。
母親は男の子をほしかった。
父親は宗教的に厳格な人だった。
愛されない自分。
若くて男性に求められるうちだけ自分に価値があると感じられる。
でも、求められるその理由=セクシーであること、
すなわち、罪。

最後の部屋の女性は、もう死んでいるのかも。
最後の部屋担当の宮本裕子って人の語りが素敵だったな。

しかし、銀河劇場は広すぎたかも。
もう少し小さくて、猥雑な場所の激情のほうが合ってたかも。
でもセットに高さが必要だから難しいなあ。

ネリー・アルカンの映画もあるそうで、観たい
と思ったらもう終わってた。
小説を読んでみよう。



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散歩する侵略者(シアタートラム 11/12 18:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

劇団イキウメの本公演を観るのは初めてです。

蜷川版の「太陽2068」を観て、前川知大ってすごいなと思い、
「奇ッ怪 其ノ参」も観ていて、いつかは本公演も観たいと思っていたところ、
テレビで「聖地X」をやっていて、これがもう、爆笑。そしてシュール。

「散歩」の追加公演が売り出されたタイミングだったので、早速ゲットしました。

予想以上にシンプルなセット。
そして、あまりに荒唐無稽な設定。

失踪した夫が、いろいろ不自然になっていて、
じつは、宇宙人になっていると言う。
散歩しながら出会った人から、いろいろな「概念」を収集して、
侵略の調査をしているという。
「概念」を教えてあげた人は、その「概念」を失う。

でも、リアリティがあるんですよねえ。
脚本も演者も上手いから、そうかそうかと思って観ちゃう。

ネットのインタビューなどで、この作品は、
ウルトラマンのとある怪獣から思いついたとのこと。
前川さんと私は3つ違いかな? 同世代だわああ。

「所有格」という概念を失った人が、
共産主義者になるとか、面白い。
(でもそこから反戦運動につながるのは、距離がありすぎな気も)

日本海側のある街という設定で、
隣国からのミサイルが…! という、
本筋とは関係ないように見える背景があるんだけど、
これは、「宇宙人の侵略」が「戦争」の比喩だということなのよね。
知らない間にひたひたと侵略されている、おぞましいもの。
初演が2005年で、今はさらにリアリティが増している。
(北朝鮮が、という意味よりも、
社会全体が戦争を是としつつあるという意味で!)

ラストどうするのかなと思ってたら、
ヒューマンな終わり方で驚いた。
(一応ネタバレ避ける)
希望のある終わり方。

しばらく、いろんなシーンを思い出して、しみじみします。


帰りにはDVDを買いました。
2016年版の「太陽」と、
チラシが素敵で観たいと思ったけど都合が合わなくて観れなかった
「地下室の手記」(イキウメの公演だったのですねえ~)。

「太陽」のラストは蜷川版と大違い。
前川さんと出演者のコメント音声があって、
発想としてはバンパイアものであると。なるほど。
演技とか、人の出入りとか、いろいろ工夫していることがわかる。
リアリティってのは、計算されたものなのだなあ。

「地下室の手記」はもう大爆笑。
ドストエフスキーすごい、前川知大すごい、安井順平すごい。

ほかのも観たいぞー。


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神々の土地(東京宝塚劇場 10/17 18:30) [観劇メモ]



文学的で、すごく良かったなー

ラスプーチン暗殺の実行者が主人公=まあくん、
で、友人の真風さんは美術コレクターの貴族で、これも暗殺の首謀者。
ある程度史実にそった話なんですね。

架空の人物として、主人公の思い人に、
アレクサンドラ皇后の妹で、主人公の義理のおばさん、
っていうのを設定。これがうらら様。

主役二人の、お互い好きなんだけど絶対にそうは言わない、
切ない関係が、たまらーん。
最後の最後に一夜をともにする(んだよね?)けど、
その後も、態度が表面上はそれほど変わらないのが、また切ないーーー。

二人の出会いはどうだったんだろう、
10代のまあくんと、ちょっとお姉さんのうらら様?
ロシア語を教え教わり?
なんて、描かれない部分を想像すると、また苦しい。

二人が雪原で踊る様子とか、雪投げ合いっことか、たまらん。

こうして考えると、
向田邦子ドラマみたいな感じかも(唐突ですが)。
欲望をおさえて、決められた枠の中で生きている、その切なさ。

あと、ショーとしての良さもあったな。

冒頭、紗幕の向こうで、皇帝の暗殺未遂(うらら様の夫が犠牲になる)。
そこから雷の音で、貴族の館にぱっと転換。
上手いなー。

酒場で民衆が盛り上がって踊り狂う場面もすごい。

軍人の任命式が大階段だったり。
ラスプーチン暗殺が、銀橋をしずしずと皇后とラスプーチンがわたり、
そこから大階段の上で暗殺ー
(実際に階段で殺したらしい。なかなか死なないのも史実通り)。

くーみん、次はショー作品だよね、楽しみだ。


キャストでは、
まあくんの凛々しさと、うらら様の美しさは言うまでもなく。

凛きらの初女役? アレクサンドラ皇后が陰気で面白かった。
みんなが私をいじめるんですもの、みたいな卑屈さがある。
(これが、ふみか様なら、もっと威圧的になるんだろう 笑)
あ、くーみんは『翼ある人々』でも、
凛きらに「ベートーベン?」っていう面白い役をふってたから、
けっこう好きなんだね。

皇帝の松風さん、頼りなさが活きてた。メイクも本物みたい。

次期トップの星風まどかは皇女オリガ。
正直、顔が苦手なんだけど、歌のうまさはもちろん、
演技に華があるよね。一気にみんなをひきつける勢いがある。

今回退団の瀬音りさちゃんが、超大きな役でうれしい。
ジプシーの娘さんで、貴族のあっきーとラブなの。
革命を起こそうとしている弟(桜木さん)と板挟みに、、、、
低い声の歌も上手い!
退団してからも舞台に立ってほしいな。

あっきーは優しくてダメなところがこれまたピッタリで、、、
桜木さん、野太い声が出てて、男らしくなったなあ~ほれぼれ。

すっしーさんが女役でかっこよかったよ~。

愛月ひかるのラスプーチン怪演もすごいが、
連れてる巫女の首からさげてるのがガラガラなるのが怖い。
演出効果抜群。


「神々の土地」というのは、ロシアがやや土俗的というか、
西欧的な考え方ではとらえられない、ということなんだよね?
民衆のあの勢いがそれを表しているんだろう。
(人類初の共産主義革命はロシアだからこそ起きた、ということ)
ラストも、主役二人だけでなく、民衆がどわーっと出てくるし、
影ソロは民衆代表の桜木さんらしい。

(そういえば、この11月でロシア革命100年ですね。)
(ところで、ジプシーも共産主義革命に参加したの??)

うらら様の役はドイツからお嫁に来て、革命直前に戻ることもできたのに、
ロシアにあえて残って、ロシア貴族として死ぬ。
ロシアという土地への愛。
でも、まあくんの役は、偶然とはいえ、生き残っちゃうんだよね。
それもまた切ない。(そればっか)

この土地は、ここで懸命に生きた人のものである、
というようなことを台詞で言ってたな。

で、くーみんはパンフでこう言ってた。
「宝塚がいつまでも、そこで懸命に生きた生徒たちのものでありますように」

そうだね、本当にそうだ。

あー、もう一回観たい。


ショーは……あれ? 全然覚えていない(笑)
曲が良かった気がする、、、それ以外出てこない、すみません

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危険な関係(シアターコクーン 10/27 19:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

ジャンヌ・モローとジェラール・フィリップ主演の映画が大好き、
もちろん「仮面のロマネスク」も好き、
グレン・グローズ主演の映画も見た、
玉木宏の顔と声がすごく好き、
すみ花が出る、

当然、観ますわな。

しかし、
やっぱり無理があった。
舞台の人でないとつらい。

玉木んが下手なのは最初からわかってる(笑)。
鈴木京香も下手なのは残念だった。

台詞をちゃんとこなしてはいるんだけど、
その裏の意味が伝わってこない。

玉木んの初舞台
田舎の素朴な青年だったから、下手さもスター性の内だったんだけど、
この芝居はさすがに難易度高すぎた。
裏の裏の裏をかけひきしながら丁々発止するんだもん。

すみ花が、がんがんに空気を動かしていって、さすがだった。
本当は好きなのに、好きじゃないって言い張って逃げる、とかさ。
台詞のはしばしから、身体の奥から本音がにじみ出ちゃう、なのに台詞は裏腹。
そうよ、舞台を観るってこういうことなのよ!!
ただ、全体としては空気が動かないから、すごく変な人っぽかった(笑)
でも、トールベル夫人は変な人だから、それで良かったと思う。

おばさま役の文学座の方もすごくいい発声でびしっとしまった。
なのに客席が笑ったりして、残念。

玉木んがやたらと脱ぐのもなー。
自分が男性の裸体にそれほど興味ないのもあるし、
この芝居は脱いだりしないほうがいいんじゃないの。
台詞でやりあうエロスを楽しむものなんじゃないかしら。

舞台装置がとても面白かった。
1960年代の日本かぶれのフランス人の部屋、みたいな感じ。
盆栽があったり、ふすまと畳みたいになってたり。
衣装も着物を意識したもの。
ただ、そこにランニングマシーンとかあるのは変。
現代のテクノロジーはやりすぎ。

高橋恵子もなかなか良かった。60代? お美しい。

ストーリーで気になったのは、
ダンスニーがなんでヴァルモンに決闘を申し込むのか、
メルトゥイユ夫人が告げ口したってことがすっ飛ばされてるので、
原作知らない人はついていけただろうか?

あと、ラストは面白かった。
メルトゥイユ夫人が、何食わぬ顔で、このままずっと生きていけると言ってて、
突如、目隠しをされ、人形みたいに動いて終わるの。こわーい。おもしろーい。


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All for one(東京宝塚劇場 10/3 18:30) [観劇メモ]

ただただ単純に楽しかった!

イケコのオリジナルとしては、かなりいい出来なのでは?

よく考えたら、
恋の成就と、独裁者を倒すことと、失った仕事を取り戻すことと、
なんで同時に進行しているのか、わからないような気もするんだけど、

冒険活劇として楽しめました。

トップコンビの次に三銃士がいて、スターさんぞろいだから、
敵役の番手が少し下。
そのことによって、
イケコ作品によくある、
「二番手が敵役で、二番手だから内面を描かなくちゃいけないんだけど、
貧乏コンプレックス以外の内面が設定できなくて、間抜け」
という残念さが無いのも勝因の一つかも。

みやるりとトシちゃんが国宝級のカッコよさなのよーーー。
主に二人をオペラでガン見。

みやるり、これまでも好きだったけど、
ショーの色気ムハムハと、芝居での丁寧で重厚な演技と、
バラバラだったのが、今回、合体したと思うの!
男役さんの色気で鳥肌たったの久々だわぁ~~
いやー、自由自在に色気をしたたらせていて、
これだよこれ、これを待ってたんだよ!!
二番手格で銀橋わたるときも、
二階席の後ろまでオーラが届いてた!
やっぱり、別箱主演やるって大きいねえ。
もっとはやくにやらせてあげるべきだったよねえ。
思わず、ファンクラブの入会書をもらいそうになるくらい素敵だった。
辞めないでよっ!

トシちゃんもねー、渋くて抑えた中に、これまたしたたる色気。
これは、いかにもゲイに好かれそうな…
と思ったら、本当にそういう設定になっていて笑った。

トップコンビ二人が安定の素敵さで、
特に、ちゃぴの「男のふり」が、かっこかわいくて、目が離せない。
それと、ガンガン笑いをとっていたのも、功績。
当初は、ルイ14世がじつは女性だった、
というのがクライマックスかと思ってたんだけど、
それはけっこう最初の頃に(観客には)明かされるのね。
その前後のドタバタで、まずは惹きつける仕組みなので、
スムーズに笑いを取れるかが重要だったと思う。

ちゃぴの元男役がいかされた設定といい、
たまきちの田舎っぽいけどまっすぐでさわやかなヒーローぷりといい、
三銃士もだけど、
とにかく、宛書がいい。

敵役は月城さん。
この方、しょーもないギャグを言わされてるんだけど、
それが上手くて。全然すべらないの。
ああ、本当にお芝居が上手いんだなあ、と。
そりゃそうだ、新人公演でにわにわの役やって注目されたんだからね。

すーさんとコマも国宝級だよねえ。
すーさんが最後にびしっと言う台詞、素晴らしかったなあ。
もちろん、それを受けて「御意…nnnn…に!」ってタメるヒロさんも、さすがなのよー。

コマは、『PUCK』のヘレンの延長の役だけど、
もっとこなれて、もっと舞台全体を掌握してた。

退団とはねえ。残念だなあ。
もはや、「専科」は通過点にすぎないのね。
専科制度自体、解体するんだろうか。
いや、かつての新専科みたいな感じなんだろうか。
でも、コマが専科行ってからの仕事はどれも良かったから、
意味あるって言えば、あるのかな。
辞めてからも、お芝居続けてほしいな。

組子それぞれにちょっとずつ役があって、気持ちよく観れた。
それぞれが自分なりの小芝居をしているのが、いい感じ。

あ、ストーリーで唯一気になったのは、
女性が王様をしちゃいけないの?? ということだ。
当時はそりゃありえないだろうけど、現代人からしたら、
女性が仕事を続けるお話だったら良かったのに、と感じる。
ただ、最後に、「バレエは続ける」と言っていたのが、救い。
これが無くて、ただ「妻」になるだけだったら、フェミ的にはブーイングでした。


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円生と志ん生(紀伊国屋サザンシアター 9/20 19:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

昭和を代表する落語家、円生と志ん生。
終戦時に満州の大連にいて、600日帰れなかったのだそうです。
その間の出来事を、井上ひさしが想像したのがこのお芝居。


なんとまあ、わたくし、
観劇10日前に、大連に旅行に行ってたんですよ!

友達に誘われて観劇することにしてて、どんな芝居かよくわからず、
でも、旅行の予習をしてたら、
あれ? 関係あんじゃん、と。

なので、大連への飛行機の中で、戯曲も読みました。
もう一つの大連もの『連鎖街の人々』も読みました。

その頭で、大連の街に行って、
舞台に登場する様々な場所に行ってきた!

ここまで予習バッチリな観劇もはじめてです。


話の筋を知っているから、つまらないかな?

と思いきや。

もうねー、
戯曲だけでも面白くて笑ったけど、
その登場人物たちが動いてしゃべってるのを見たら、

愛おしくて、愛おしくて、たまりません。

なまの人間って、本当に愛らしい。

円生と志ん生が、多分、実物に見た目も似てるし、
しゃべり方もかなり似せてるんだと思う。
ああ、本当にこういう人たちがいて、こういう苦労をして、
それで戦後、大成したのねえ、
と思い入れて、切ない。切なすぎて苦しい。

井上ひさしの芝居は、テンポが昔風というイメージがあったけど、
これに関しては全然そんなことはなかったです。

円生と志ん生以外は、女性が4人で、
場面も次々変わり、女性たちはそれぞれ違う役をやります。

それが、当時の大連の苦労を象徴している人たち。

・軍人のおめかけさん
(宝石だけを頼りに生き延びようとしている)

・遊郭の女郎とおかみさん
(一般婦女子の防波堤として、ロシア人の相手をしている)

・満蒙開拓団の女性たちの幽霊
(満州の奥地から大連まで来たけれども封鎖されていて入れず、
殺され、中国の人に託した子どものことが心配で化けて出る)

・女学生とその先生
(中国共産党の指導で組合ができて、密告めいたことが起きている)

・修道女
(路上生活者への炊き出しのために、帰国しないでいる)

それぞれの場面を経て、
最後は、昭和22年1月の引き揚げ舟で、志ん生が先に帰る、
というところまでの1年半を描きます。

『連鎖街の人々』は、逆に、終戦直後の2日ぐらいだけ、
数人の人が、ずっと同じ場所でドタバタするのを描いているので、
対照的。


でもどちらも、
芸に生きる人が、苦境にあっても芸を捨てない、
いや、むしろ芸が磨かれちゃう、
その健気さをテーマにしているんです。

廃屋で残飯を食べながらも、
落語の稽古みたいなのをしちゃう、1幕最後、
しかもここには、幽霊のお母さんたちも登場するので、
それぞれの健気さに、泣かずにはいられません。

それに比して、2幕はクライマックスっぽくはないので、ちょっと拍子抜けかな。
でもそれが、落語らしいのかも。


円生は要領がよく、すらっとしていて、人情噺が得意。
(大森博史さん。自由劇場の人だそう)
志ん生は破天荒で、貧乏も平気、ばくちが大好き。テンポのいい落とし噺が得意。
(なんとラサール石井。ヘッズアップ以来、ラサール石井の株は上がりっぱなし)
対照的な組み合わせも面白い。

二幕では、二人の服装がボロとスーツでどんどんかけ離れていって。
でもその差を簡単に超えてしまう、
落語という素晴らしい世界!
そして同じように健気な女性たち!

4人の女性は、ゆうひさんが、どの場面もわりと年上の役。
おばあさん声がいいね~。びしっと落ち着く。
太田緑ロランスさん、海の夫人で見た人。
修道女の場面はこの人のテンションで入りこみやすかった。
池谷のぶえさんは、それぞれの役が別人にしか見えない。すごすぎる。
あとお一方は…前田亜季さん、どっかで見たことある。
学級委員的な修道女が良かったね。


ちなみに、私の父は大連生まれなのです。
昭和22年3月の引き揚げ舟で帰ってきたそうで、
(作中だと、円生と一緒ということですね)
当時12歳だったので、
こういう苦労はあまりよくわかっていなかっただろうけど。
でも、昭和20年8月9日にソ連が参戦した途端、
近所の中国の子どもたちとの上下関係が一変した、
子どもでもそうだった、と言ってました。

パリを模した素敵な街並み、
満鉄の傘の下でのモダンで豊かな暮らし。
ある日を境に急に世界が変わって、
今まで下に見ていた中国人に助けられる日々、、

そして現代の大連は、
ものすごく発展していました。
歴史的建造物の後ろには、高層ビルがにょきにょき。
路面電車と並んで、外車がびゅんびゅん走っていました。

古い建物を、中国の人なりのやり方で
保存していたり、壊しちゃったり。
(特に連鎖街は、ほぼバラックと化しているので、
今のうちに見ておいたほうがいい)

都市が、使われる人によっていろいろに姿を変えて、
地層の奥にいろいろな記憶をたくわえていくことを、
しみじみと感じました。

路面電車は日本統治下のときの車体そのままです。
表面はリフォームしてあるけど、そのリフォームもとってもかわいい!
円生や志ん生、あの女性たちも、これに乗ってたんだろうなあ。

人は、みんな親切でした。
もちろん、日本のような「サービス」とは違って不便もあるけど、
日本人だから、とかいうことは一切無いです。
泊まったホテルのガイドさんが、
(満鉄が作ったヤマトホテル。
今は大連賓館として昔の建物をそのまま使っているので、
展示室があって、ガイドさんがいるのです)
「ウソ(←多分満州国のこと)はいけないけど、
日本は技術を残してくれたから感謝している」
と言っていたのが印象的でした。

落語は、あとに残るインフラ的な技術じゃないけど、
でも、言ってることは同じだと思う。

(ウソの政治は良くないからそれに反対することはもちろんだけど)
各人は、それぞれの場で、
国とか人種とかのこだわりなく、
何かに精進して、
インフラのように後世の人の役に立つものなり、
悲しい気持ちを笑い飛ばして元気になれる落語なり、
少しでも、「いいこと」をしたいものだなあ、
と強く感じました。




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GOHST CLUB(シアタークリエ 9/5 19:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

藤沢文翁の朗読劇にまたリカちゃんが出るので
いそいそと観に行きました。
今まで観た中で一番完成度高いんじゃないか!?

スランプ中のコナン・ドイルが主人公。
ホームズじゃないのを書きたいんだけど、
ファンはホームズばかり求めて、うんざり。

これがオサさん。
弱気なのにナルシスティックっていうのがすごく合ってる!

コナン・ドイルの妄想で、シャーロック・ホームズが出てくる。
ふつーにほかの人ともしゃべったりするのが面白い。
朗読ならではだよねえ。

これが声優の朴ロミさん(字が出ない)。
この朗読劇シリーズでいつも思うけど、
声優さんてすごい!
声だけでいろんな表現ができる!
…NHKの「オイコノミア」のナレーションやってる方なんだね。

「ビクトリアンジャズ」でも登場したように、
当時おおはやりの「科学」で、コナン・ドイルもはまった降霊術。

それを「奇術」だよ、とあばく、不遜なアメリカのマジシャン、
フーディーニ(実在の人)、がリカちゃん。
かーっこいい~~~!!
この朗読劇シリーズだと、
繊細な天才バイオリニスト(男)か、
狂気をはらんで突然男になったりする謎の美少女か、
(あ、サンジェルマン伯爵もあったな)
だったけど、
今回は、野心的な男なのよーーー!
髪は長いウェーブだけど、顔は男っぽいメイクだったかな?
出番ないときに椅子に座って
水(ウイスキーにしか見えない)を飲んでいる姿とか、
あーもう、やっぱり好きだなあ、うっとり。。。

そいでもってそいでもって、
彼等が検証するのは、
幽霊が出ると有名な劇場。
その劇場主が、15歳の高貴な少年。

これが、退団後お初の、ふーちゃん!
ショートカットで、足開いて座って、
ちょっと低い声で、
かーーーわいいーーのーー!!
すごくいい「少年声」。
ちゃんと「声」で選んでるんだなあ、
さすがのキャスティングだなあ。

幽霊ではなく奇術、
だとしてもそこには「情」がある。
この朗読劇の根底は、いつも「情」なんだよね。
それでうるっとしつつ、
それぞれが、自分のとじこもっていた殻から抜け出す、
という前向きなストーリー。

こう書くと単純だけど、
場面転換とか、照明や音楽の演出とかが、
すごく上手いので、「次どうなるんだろう」と思いながら、
全然飽きない。

日によってキャストが違うんだけど、
この回は、女性ばかりで男性の役をやるっていうのが、好み~
でもほかの組み合わせも気になる~

「サウンドシアター」というくくりからは、藤沢さんはおりて、
でも結局クリエで新しいシリーズをやっているらしい、、よくわからんが。

そいでもって今回はCDが出る! 早速予約したよ!


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グローリアス!(DDD青山クロスシアター 8/27 13:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

映画「マダム・フローレンス」と同じ題材の、
実在した音痴な歌姫のお話しです。

映画(残念ながら未見)では、夫がマスコミを買収して、
いい批評しかかかせなかったことになっているようですが、
このお芝居では、夫は登場せず。
マスコミも登場せず。

出演者は、
歌姫(篠井英介さん)と、
ピアニスト(水田航生くん)、
家政婦・友人・批判的な上流婦人の三役をやるユミコ(彩吹真央)さん、
の3人だけ。

ドラマチックな出来事が起こるわけでもない。
強いて言えば、ハラハラ要素は、
「リサイタルのチケットが売れるかどうか?」
ぐらい。

結果、マダムの魅力が全てになっているんです。

それが、大成功だと思う。
篠井さんの当たり役なんじゃないかなあ。
(ご本人は大変だろうけど)

最初は、歌の下手さと、変なテンションに、
ドン引きしていたピアニストが、
いつのまにか、マダムを敬愛するようになる。
その場面が台詞で表現されてもいいんだけど、
あえて言葉では表現していない。

でも、なぜか違和感がない。
それは、観客もピアニストと同じように、
最初は「どうなんだろう、この人…」「音痴っぷりはどうなんだろう…」
と探りながら観ていたのが、
どんどんどんどん、マダムを好きになっていくから。

歌の下手さの魅せ方も、いろいろ研究されたのだろう。
始終、クスクス笑ってしまった。
衣装で羽を背負って、自分でパタパタするのがあるんだけど、
(史実でもそうらしい)
タイミングとか、よく考えられてる。
何回でも観たい。

下手も、突き抜けたらすごい芸。
それを支えているのは、
「好きなことに無心になっている」ということだ。
素晴らしいことじゃありませんか。
だから、多分みんな、マダムに憧れてたんだと思う。

もちろん、好奇心、嘲笑したい、というような興味もあっただろうけど、
でも、それを満足させるだけの芸でもあったということ。

音痴な歌姫の笑える話かと思ってたけど、
そうではなくて、
好きなことに一生懸命な人の話だったわけ。

篠井さんの上品な持ち味も、
音痴さを下品にしないで、可憐さに変えた要素の一つ。

いろんな花柄の壁紙を使った、
下品の一歩手前みたいな派手でかわいい舞台、
内容にぴったり。

ピアニストのピアノ演奏は、どうするのかと思ってたら、
なんと、舞台はじっこに本職のピアニストがいて、
口パクならぬ、演奏パク。
ピアニスト役の水田くんと目を合せたり牽制しあったりしてて、
舞台ならではの面白さ。

水田くんは名前の通り、したたる色気があるねえ。

ユミコさん、お久しぶり。
スペイン語でがなる家政婦は間合いがよくて面白いし、
なんたって、マダムの友人役のおばあちゃんがかわいいのなんのって。
男役時代は優等生的な役が多かったけど、
素はこういう、ふんわりしたかわいらしい人なんだろうなあ。

1時間40分の、こじんまりした、愛すべき小品でした。

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阿弖流為 –ATERUI(日本青年館 8/4 15:00) [観劇メモ]

やっぱ大野作品いいわぁ~。
大劇だと詰め込みすぎになっちゃうけど、
これぐらいの規模、時間だと、ちょうどいいわぁ~。
原作ありだから迷走しなかったというのもあるかな?

礼真琴さん(すごすぎて愛称で呼べない)は
もはやトップのような働きっぷり。
安心して見ていられる。
それでいて、フレッシュ。
小柄なことも全然気にならなかった。

リーダーとしての責任を果たすという意味では、
バンディートにも近いね。
そこに当然、友情が絡む。

アテルイとモレは、お墓も一緒なぐらい、セットな組み合わせ。
(将軍と参謀)

で、モレがアテルイに、言うんですよ。
「死ぬ日は同じと決めていた!」って。
ちょっとーーー、全国の腐のみなさん、今の聞いたーーー!??
って客席で叫びそうになっちゃったよ。

モレ役の方は、「鈴蘭」でも礼真琴さんの家来みたいなのやってたね?
(スカステに一瞬だけ再加入したので、ちらっと見た)
しゅっとしていい感じね。
組替えなんだ。
重要な役なのに、パンフでの扱い小さ過ぎねーー? 
とみんな思っただろうけど、これから出世するのであろう。

ほかにもさー
ラブシーンで、(あ、これはヒロインとの場面ね、一応)
「あなたの中の炎が私にもえうつった」
「その炎、消しはしない」
みたいな台詞もあったよ。
素敵素敵~~

最近のたっくんは、
エンタメ要素も入れられるようになり。

ラブシーン、決め!
の直後に討伐の命がくだって、幕! 一幕おわりー
とか、こなれている。

二人が死ぬところ、
お酒を飲みながら、
「蝦夷に生まれて良かった!」と笑顔で言い放って、
ぱっと暗転して、
すぐに明るくなると、
そこには二人分の首(布で包んである)が置いてある、
とか、、
今でも思い出すと切ない。

映像を使うのも多くなったね。
今回みたいに、地名のヨミと漢字がぴんとこなかったり、
地理がわからない場合、地図を写すのはとてもいい。
頼りすぎない程度にしてほしいけど。

ストーリー上は、
裏切りと見せかけて…? というくだりが少し分かりにくかったかな。
勝ったのに降伏、じゃなく和睦にするとか。

柚美さんの男役は、面白かった~。
だって、轟さんに似てるんだもん。

みんなに、ちょいちょいエピソードあるのがいいよねえ。大野作品の良さ。
あんるちゃんの役とか、人身売買で買われて、召使として忠実に仕えている…
ってなんか深読みもしちゃうよーん。

敵役である坂上田村麻呂が、子どもの頃多賀城にいたことがあるとか、
経済的な理由で協力する物部氏とか、
いろんな人がいろんな感情で絡んでるってのも、いい。

そしてそして、しーらん!!
しーらん史上最高だよ!!
いや、この作品で一番の賞をあげるとしたら、しーらんだよ!!
細くて、熱くて、頑張ってるなあって思ってたしーらん。
すごい大人の男だったぁ~。
アテルイたちの先輩格で、
大和朝廷に従順なふりをしておいて…じつは、っていう難しい役。
細さが逆に、枯れた感じになっていて、
一見枯れていて、でもそれはちゃんと戦略を持っていて、
次世代のために犠牲になる、、、。
つかまったあと、檻に入れられて引き回される場面が、もうもう…
はうううう
しーらん、次で退団なのかあああ。
素晴らしかったです。

文化祭以来、いいと思っている、天華えまちゃん。
良かったわあ。お芝居上手いわあ。

ヒロインは有沙瞳。二人並ぶと等身バランスがいいねえ。
だいもんだと、ちょっと顔が濃すぎる同士だけど、
こっちの組み合わせのほうがいいな。
(あと、今って娘役は歌えることが大事なのかしらん)

二番手で坂上田村麻呂役は瀬央さん。
見た目が男っぽくて声がやや高いってのが、
ちょっとキタロウくんを思い出すけど、
もっと怜悧な感じ。
役にぴったり。

輝咲さんが最初に討伐に行く大将で、
この方、悠未ひろ的な、怪物っぽいすごみがある。

夏樹れいさんはおバカな貴族を、美麗なお顔でコミカルに演じてました。
退団かあ。

音楽は高橋恵、、高橋城のお嬢さん?
ちょっとお父さん似のメロディーもあった、
けどやや単調かな。

フィナーレでたくさん桜が咲いてた。
大野作品はお花がいつも登場する。ちゃんと意味がある。
これはきっと、舞台になった場所が桜の名所なんだろうな、
と思って調べたら、多賀城跡が、桜の名所なのだそうです。あたりー。
ああ、この人物たちが、1200年以上たって、お花見をしているところなんだね。
せつなーーーー。

原作を読んで、どこをたっくんが変えたのかとか、比較したいです。


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邪馬台国の風/Santé!!(東京宝塚劇場 8/11 15:30) [観劇メモ]

駄作だ駄作だと聞いていたせいか、
それほど驚かなかった。
何回も手直しされているそうだ。

「大海賊」を「そこそこよくできてる」と思うぐらいには、
破たんがないと思う(笑)。
見た目かっこつけているのに、主人公の感情がわけわかんない、
サイコパスか、お前は、
というような作品に比べたら、全然マシかな、という。

でも、全然深くはない。
場面転換とかにもなんの工夫もない。
昔の作風なんだろうね。

敵役がただの敵役でしかなくて、近代的な物語で求められる動機とか何もない。
愛し合った二人が、立場のせいで別れざるを得ない、
それだけで持たせているという。
あと、何重にも三角関係とか。

でも宝塚ってこういうの多くない?
配役も、番手とかをちゃんと考えて、そこそこ順当にふってるし。

突っ込みどころと言えば、
巫女が神のお告げを得るのは真実とされている一方で、
手を熱湯につけてやけどしなかったら無罪っていうのは、
薬草で、ある意味科学的にやけどを回避する現代的解釈なのねえ。

そういえば、邪馬台国って結局どこにあったんだろうねえ?
いろいろわかってない時代だからねー
服とか本当はどうだったんだろうねー
などと邪心が時折入り込む。
同じような衣装でも、太王四神記は邪心入り込まなかったから、
(外国の話だからかもしれないけど)
観ながら、ちょいちょい退屈していたのだろう(笑)

キキちゃんがすごくかっこよくなってた。宙組に組替えかあ。
ゆきちゃんの巫女がぴったり。


ショーは賑やかだったけど、あまり残らず。
みりたんの女装が美しかった。
ロケットの衣装がかわいかった。葡萄なのかな?
カレーのロケットボーイが「スターさん!」って感じでいい。

みりたんとゆきちゃんのデュエットダンスにときめいた。
仲良さそうでよかった。
みりたんがフィナーレで組子の顔を見るのも、いい感じ!
なかなかなつかなかった猫が、
ふわっと近づいてきてくれた、みたいな。
(まだお腹全開じゃないけど、そのうちお腹全開もいけるかな、ぐらい)



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